■この記事の筆者は当院の院長です。院長プロフィールはこちらへ。公開日:2022年4月19日。更新日:2023年5月15日

【 解説 】 三叉神経痛

顔の痛み

■はじめに・・・・

・顔面の痛みは大変辛い症状の1つですね。顔面の痛みは三叉神経痛と考えられていますが、原因は分かっていてもなかなか痛みが改善されるという話はあまり耳にしません。このような症状が伴いますが、鍼灸は適応なのかどうかと聞かれた場合、「時間と施術回数はかかりますが、症状の改善は期待できます。」と答えます。

・さらに詳しく三叉神経痛について現代医学の考え方と東洋医学(鍼灸)の考え方について説明していきます。
解説

■現代医学では・・・・

・主な症状として痛みに関してはかなりの特徴があります。痛みは非常に強いですが、突発的な痛みになることが多いです。一瞬痛みが走る程度で数秒又は長くても数十秒の痛みのケースがありますが、5分、10分以上続くような痛みは三叉神経痛でないことが多いです。
・三叉神経痛では洗顔・化粧・髭剃り・食べ物を食べる・冷たい物を飲むことで痛みが誘発されることがあります。痛みによって歯磨きができない場合もあります。
三叉神経の分布図
【 原因 】
三叉神経は脳幹から始まり、脳槽とい空間を通りテントと呼ばれる構造に入った後、3本(眼神経・上顎神経・下顎神経)の大きな枝を出してさらに細かい神経線維を顔全体に伸ばしている神経になります。
多くの原因は血管による神経の圧迫になります。(約90%)その他に腫瘍(癌)による神経の圧迫によるもの(約8%)・脳動静脈奇形による神経の圧迫によるもの(約0.5%)があります。
【 診断の目安 】
・三叉神経痛の診断は「痛みの症状」と「病気の経過」を詳しく取ることが重要です。これだけでも大体の見当はつきますが、非典型的なケースなどで診断がしにくい場合は特殊なMRIなどで血管による神経の圧迫・腫瘍の所見などから総合的に診断する必要があります。

【 鑑別しなくてはいけない病気 】
・帯状疱疹後の三叉神経痛と舌咽神経痛があります。帯状疱疹後の三叉神経痛は帯状疱疹(この場合、顔に水泡ができる)が確認できれば帯状疱疹による三叉神経痛と判断できます。舌咽神経痛は三叉神経痛と同様に飲み込むときに痛みがでることがあり、三叉神経痛との区別が必要になります。
治療
【 治療法 】
・薬物療法と手術療法があります。
・薬物療法は抗てんかん薬を使用することで軽減が期待できますが、痛みのコントロールが難しい場合があります。
・手術療法は血管による神経の圧迫を下げる方法になりますので、非常に効果的な方法と考えられます。手術療法につきましては担当医師に相談(特に術後の経過についてはよく確認して理解して下さいね。)して納得をしてから受けて頂ければ良いと思います
鍼治療

■東洋医学(鍼灸)について

鍼灸では「面痛」、つまり顔面の痛みと考えます。
【 原因 】
ストレス・過労・生活環境などで内臓の働き(特に脾・胃・腎・肝などの臓器)が低下し、体力が落ちたところで、身体に不要な物質(風邪・寒邪などの邪気という)が顔を通る経絡に入りこむことによって、気血の流れが悪くなり、その結果、顔に痛みが生じると考えます。
【 施術方針 】
・痛みが出ると辛いのでまず初めに痛みを少しでも改善できるよう反応のある部位(三叉神経が表面に出る所、オトガイ孔・四白穴・陽白穴)に施術します。
・それと同時進行で内臓の働きを改善し気血を増やします。気血を増やしたら、身体に不要な物質(風邪・寒邪などの邪気)を取り除くよう施術をします。最後に顔を通る経絡の流れが悪くなっているので経絡の流れを良くするように施術をして、顔の痛みを改善を目指します。

施術経過
【 施術経過 】
・個人差がありますが、一時的に症状が軽減しやすいですが、しばらく時間が経過すると症状が戻ってしまいます。症状が戻る前に施術を続けていくことで、徐々に痛みの程度、発作回数が減っていくことが期待できます。
なお実際、どんな経過をたどるかは、初検時に患者様の要望を元に、施術計画を患者様に提案し了承を得た上で施術を進めていく形になるので個人差に加え、施術計画により異なります。
【 セルフケア 】
・セルフでは煙の出ない棒灸を用いてツボを温めますが、効果には個人差はあります。
■合谷穴
合谷穴
・合谷(ごうこく)穴は手の陽明大腸経のツボの1つで原穴と言って大腸・もしくは大腸の経脈に症状がある場合に反応が出る重要なツボになります。このツボは顔の出た症状に効果があるツボだとも言われています。
■足三里穴
足三里穴
・足三里(あしさんり)穴は足の陽明胃経のツボの1つで下合穴と言って、これもまた重要なツボになります。このツボは気血を増やす作用と様々な病気の症状の予防に効果が期待でき、症状のより一層の改善を促します。
【 日常生活の注意点 】
・「セルフ療法をして頂くこと」、「ストレス解消もしくは上手く付き合うこと」、「痛みを誘発する原因を避けること」は大事になります。
・ストレスは症状の悪化を誘発しやすいので自分なりの解消法があれば行って頂き、解決できないストレスについては上手く付き合うことが必要になってきます。
・痛みを誘発しやすい扇風機やエアコンに当たることや冷たい物を食べるなどは極力控えて頂くことも辛い痛みのある時は気を付けて頂きたいですね。

【 症例を挙げます。 】
【 症例1 女性 38歳 】
■予診票からの患者様の情報
前歯の痛みがあり辛い。当院へ初検で通院される1年9か月前に歯科にて受診された。そこでは歯根に膿がたまっていると言われた。膿の処置を2か所の歯科クリニックで施しても痛みが取れなかったので、3か所目の歯科医院でCTを取ると、歯根が曲がっていて患部に薬が届いていない状況。また右上の奥歯にも膿があるとのこと。その歯科クリニックで精密根幹治療を受けるも症状が落ち着かず悪化してしまった。続きはこちら。
【 詳細ページ 】
・東洋医学の考え方
まとめ

■まとめ

・三叉神経痛は一般的に痛みが激しいので薬もしくは薬と鍼灸併用で一時的にでも痛みを軽減することが大事になります。
・時間はかかりますが根気よく施術を続けることで三叉神経痛の軽減は期待できます。
・ストレスや扇風機・エアコンによって痛みが悪化することがあるので生活習慣の見直しも改善させる1つの方法になります。
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