■この記事の筆者は当院の院長です。 院長の事ならこちらへ。 公開日:2019年1月22日。更新日:2024年2月27日。最新更新日:2025年6月16日

免責事項
ここに記載されている症例は個人のものであり、すべての方に同様の効果を保証するものではありません。

【 アトピー 】 症例5と症例6 

アトピー

【 症例5 男性 41歳 】

■予診票からの患者様の情報
・中学生頃にアトピーを発症しました。今まではステロイドを使用しながらコントロールしてきたが、初検日の3か月前頃(夏まつりの終わった後)からコントロールができなくなり、この際に脱ステロイドを行い、アトピーの症状改善を目指して当院に見えました。過去に患った病気は特にはありません。アトピーの治療の一環で漢方薬を飲んでいるとのこと。
鍼
■東洋医学(鍼灸)の観点からみた患者様の状態
食事について
・食欲は普段と変わりなく、食べる量は普段と変わらず同じとのこと。
小便について
・出にくい感じがあるとのこと。
大便について
・コロコロに近い状態とのこと。
睡眠について
・痒みの為に目が覚めるとのこと。

・身体状況について
・前腕内側(尺膚)を確認すると引きつりが強い感じがあります。
・お腹の状態は臍が盛り上がっているのが大きな特徴として挙げられます。
・脈をみると細くて弱い。

以上よりこの患者様の身体の気の不足(特に脾と腎)により水分の代謝が悪くなることで、体内に不要な水分が発生・さらに血液の循環不全による体内に不要な血液が発生・そして血(栄養)の不足などがあり、その結果として皮膚に栄養が与えられない状態と判断しました。

■治療方針と治療経過について
・治療方針は五臓(脾胃を中心)の働きを良くして気血を増やすことが1つ目。それから身体に不要な物(水や血)を排出を促すことが2点目。3点目は患部周辺のツボに対して気血の流れを良くして新たな皮膚の再生を促すこと。
以上になります。
・治療経過は初回の施術後、痒みが落ち着いてきたと一言ありました。さらに自分で治療をしたいということでしたので、手足の要穴にお灸をしてくださいとアドバイスしました。
まとめ

■考察

・この患者様の状態は、気血水が不足している状態だけでなく、体内に不要な水分や血液が溜まっている状態で、アトピーを改善させる為の体力もなければ、体内に不要な水・血を排出させるだけの力もなく、東洋医学的な診断に基づき、この状態から症状の安定を図るには、長期的な施術計画(年単位での時間と50回以上の施術回数)が必要だと判断しました。
そのことを患者様に説明し、納得されていたのであとはセルフ(足三里・血海・復溜等)で対応していけば望みはあると考えます。なお施術の際には「熱すぎるお灸はしない」・「体調が悪い時は行わない」・「その他不明な点は専門家の指示に従って行うこと」に注意して下さいね。
【 参照ページ 】
東洋医学の考え方
アトピー

【 症例6 女性 43歳 】

■予診票からの患者様の情報
・初検日より4・5年前に目の周りにアトピーが発症しました。初検日より1か月前より症状が悪化し始めました。夜から深夜にかけて痒みが悪化するとのこと。なおステロイドの軟膏を塗るも症状がより悪化してしまうので、ステロイドの点滴を変更して行うも2,3日しか効果は持続せず、何とかならないかという思いで当院へ来院された。過去に患った病気はずっと前から片頭痛があるとのこと。
灸
■東洋医学(鍼灸)の観点からみた患者様の状態
食事について
・食欲は普段通りありますが、食べる量は普段より控えているとのこと。
小便について
・1日10回以上で量や色は普段と変わらず普通で、夜中1度トイレに起きる程度とのこと。
大便について
・1日1回あり、普段は硬くもなく柔らかくもないが、生活リズムが狂うとコロコロの便になるとのこと。
睡眠について
・寝つきが悪いとのことで現在はこれに加えてかゆみの為に目が覚めるとのこと。
その他の身体所見
・前腕内側(尺膚)はひきつっている状態です。
・脈診はやや滑で左右の寸口が有力な状態ですが、左関上は力がない状態です。
・お腹の状態は左右の天枢穴に硬結ある状態です。

以上からこの患者様の身体は肝臓(現代医学で言う自律神経の働きの一部に当たります)の働きが低下したことにより肺(現代医学で言う皮膚に当たります)と心臓(現代医学で言う脳の一部に当たります)に熱がこもり、その結果として皮膚が赤くなって痒みが発生したと判断しました。

治療方針と治療経過について
・治療方針は肝臓の働きを良くすることが第一の目標です(これは現代医学で言う自律神経の働き改善や調和につながると考えられます。もう1点の目標は心の熱(現代医学で言う脳に影響を与えることでかゆみを認識させてしまう状態)と肺の熱(現代医学で言う皮膚の炎症)を取ることになります。そうすることで皮膚の炎症が落ち着き皮膚の状態に改善につながってきます。

・治療経過は通算2回目の施術(初検日より2日後)にはかゆくて夜中2時まで眠れなかったが、肌の赤みはすいぶん取れているとのこと。通算3回目の施術(初検日より7日後)には赤みは取れて睡眠もOKとのこと。なおステロイドは未使用で大丈夫だったとのこと。
・通算4回目以降7回目の施術(初検日より14日後から初検日より35日後)にはただ主訴は良くなってはいるが、肌の状態はまだ弱く、もっと肌を強くするために最低週1回以上の定期的な施術は必要と説明するも、初検日より2か月後に継続が難しくても、短期間でも効果を実感できたケースとして紹介致しました。
まとめ

■考察

・この患者様のケースは僕の想像以上ペースで良くなっています。原因として挙げるのであれば、患者様の状態が比較的良かったことが1点(これが8割を占める)もう1点は診断が正しくかつ施術の刺激量が丁度良い感じでできたこと。以上の2つになります。
・なおアトピーの治療は一般的に治療開始時が最も辛いことが多いです。この壁を乗り越えられると今回みたいな施術効果へつながります。
この患者様は諸事情により継続不可能になってしまったので残念ですが、週1回を最低でもあと半年程度定期的にできていれば皮膚の状態も更に良くなり、症状が悪化しにくい状態に持っていくことも可能だったのではないかと考えています。
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