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鍼灸の症例検討|不眠について
【 注意 】不眠についての施術症例を挙げますが、施術効果には個人差があります。
【 公開日 】 2021年9月24日 】 【 更新日 】2022年9月5日
【 公開日 】 2021年9月24日 】 【 更新日 】2022年9月5日
予診票から得られた情報
主訴は不眠
現病歴は2・3週間前から午前1時半とか午前3時半頃に目が覚めてしまい、それから眠れなくなる。
過去に睡眠薬や抗うつ剤を飲んで見えたが、睡眠剤は初検の3か月前に抗うつ剤は1か月前に中止していいた。
過去にかかった病気は非結核性抗酸菌症(数年前)。3・4年前にパニック障害を発症。
鍼のみ過去に1回経験はあるが、灸は過去に経験はなく、当院はホームページで知り、通院可能な距離だった為通院されることを決断したそうです。
■東洋医学的所見
・食事については、食欲はあり食べる量も多い方です。・小便については、1日10回以上で量が少ない尿の色は濃くもなく透明でなく普通。夜中には1日1回起きる程度です。
・大便については1日1回あり、便秘気味でもなければ下痢気味などの症状は確認できませんでした。
・睡眠は主訴で確認済なのでここでは省略します。
・お腹の状態は中脘穴周辺と鼠経上部に抵抗があり、下腹部に少し硬結が存在している。
・脈診は全体が細渋。左右の関上の脈が渋っている状態です。
・尺膚(前腕内側の皮膚の状態)は右は引きつっているが左はふにゃふにゃした状態でした。
■東洋医学的診断は「脾虚瘀血証」です。
何故脾虚瘀血証にしたかです。鼠経上部の抵抗と脈診の渋脈でまず瘀血の存在は確定できます。あとはお腹の中央(中脘周辺)に抵抗があり、その部位は脾胃の働きの低下によるものになります。そして瘀血も睡眠障害の原因になります。以上をもつてこの患者様の原因を脾虚で瘀血の証にしました。
施術方針及び施術経過
施術経過ですが、1回の施術で脈の渋が取れてやや滑脈になっていたので施術効果は得られたと判断しました。
そして3回目の施術初検から10日後の施術からは証を脾虚で瘀血を腎虚から瘀血に変更して施術をし始めた。それからは徐々に睡眠薬を飲む量を減らしても大丈夫な感じになってきて施術開始から10回目には施術中初めてウトウトするようになってきました。
11回目以降(初検より1か月経過)には非結核性抗酸菌症による施術中に起こった咳の回数も減り始めてきました。16回目以降(初検から2か月経過)には睡眠の状態もだいぶ回復されてくるようになってきたので週1回で様子をみることにしました。
それから2週間経過(18回目)には睡眠のことは言われず、「ばね指」のことを言われたのでほぼ睡眠の状態は改善したと判断し初検より4か月経過でほぼ完治し施術を終了しました。改善までに要した施術回数は約20回程度です。
まとめ
この患者様のケースではまず週2回程度の施術で3か月の施術期間が最低必要と説明し、納得された上で施術を開始致しました。
瘀血が不眠の大きな原因であるのは間違いなかったので瘀血処置を重点に施術した結果、約4か月の施術期間で施術回数20回で不眠が改善し良かったと思うケースになりました。
不眠の原因は瘀血だけではないです。詳しくは別の記事を読んで下さい。